アゲハ～約束～

「アゲハ？」

「・・・私・・・興味ないから。」

「あ、ねぇアゲハ・・・」



　そのまま、すっとどこかへいってしまう。

　追いかけようとした夏梅の腕を幸人が取って、すわらせた。



「追いかけんな。」

「なんで？」

「一人にしろってオーラが出てた。」

「―――・・・」



　気にするなよといいながら、幸人はデザートのフルーツポンチに手を伸ばす。

　これ、美味いぞと夏梅にも進めてきて、彼女は素直にそれを受け取った。


　けれど・・・。


　夏梅は、それをとん、と、膝の上におく。


　アゲハは三歳、幸人は二歳のころからここにいる。

　二人はまさに物心つく前から一緒にいた。

　それだけあって、幸人はアゲハを、たぶん誰よりも理解している。


　けれど夏梅は、小学校二年からの付き合いだ。

　それだって幼馴染としては十分な時間を一緒にすごしてきたつもりだけれど・・・



　あたし、まだまだアゲハを理解してない。



　そう思うと、なんだか寂しくて、口に運んだフルーツポンチも、上手く味が伝わってこなかった。