アゲハ~約束~

4.

 翌日。


 快晴。



「花見ーっ!!」



 桜満開の木の下で、誰よりもはしゃいでいるのはルフナだった。



「オレ桜大好き!日本だよね!」

「ほらほらウォーカーさん。ちゃんとお手伝いして。」

「あ、はぁい。」



 首から提げたカメラで一枚写真を撮ってから、彼は職員たちのもとへ小走りで向かう。


 そんな背中を、アゲハは黙ってみていた。


 いつ話しかけようかと、迷っているのだろう。

 けれど迷っているうちに時間は過ぎ、料理が広がり、宴会が始まる。

 始まってしまうと彼は忙しそうに写真を撮ってまわり、話しかけられるような雰囲気ではなかった。


 まぁ、そういうことならしょうがないじゃない。


 アゲハはそんな彼を見て比較的早く、話しかけることをあきらめた。

 そして、いなりずしを二、三個食べただけで食事を済ませ、一人、輪から外れて桜を見に行った。



 ―――一人で見る、満開の桜が、好きだった。


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