アゲハ~約束~
「・・・前にいったはずだけど。」

「え?」



「アゲハ、傷つけるようなことはしないでほしいんだよねって。」




 今告っても、傷つけるだけだと思うんだけど。



 幸人はそういって、横目でルフナをじとっと見つめる。 

 その視線に気おされながら、それでも、ルフナは、ぶんぶんっと首を振った。



「傷つけない。」


「どっかいくんだろ?」


「必ず、戻ってくる。」



 ―――必ず。



「・・・」

「・・・」



 すこしの、間が、あって。



「・・・あーあ、また俺と夏梅が慰めるんだぜ、これ。」



 ルフナの足を踏んでいた足を、どかした。

 勝手に行けば、と、彼は立ち上がって食器を片付ける。



「君たちの手は、取らせない。」



 大丈夫だから。


 ルフナはそういい残して、アゲハの部屋へ向かった。



< 55 / 146 >

この作品をシェア

pagetop