恋花よ、咲け。




_____。

弘也は 直感だったという。


奈穂を見たとき
この人なんだ、と思ったそうだ。


この子を逃したら
きっと次はない。


それなのに
弘也のお人好しと言ったら
酷いもんだった。


それは 数学のあとだった。


親友の健吾が
奈穂のコトを 可愛いと言ったのだ。


これ 好きになっちゃう。
…と さも嬉しそうに
何の企みもないままに
弘也に言ったのだ


弘也は 健吾の素直さを
誰より知っていた。


嘘をつくのが
素晴らしいほどに下手な健吾は
嘘をつくと
気持ち悪いくらいに笑うのだ。


「…なぁ弘也。
…少しずつ 間張ってみるよ。」


弘也は その健吾の笑顔に
負けたのだ。




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