《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
十八巻*鬼の覚醒
意識を戻すと俺は無機質な音を立てる医療器具に囲まれていた。


「兄上、お目覚めですか?」

滋弥が俺の顔を覗き込み、静かに問いかける。


「花奏様を狐に浚われるなんて、失態ですね…兄上」


俺は酸素マスクを剥いで、躰を起こし、滋弥に向かって手を伸ばしたが、一歩届かなかった。

滋弥は失態を見せた俺を嘲笑する。



「この『妖退治』は帝様の命による特別な『妖退治』…失敗は小笠原家一門の恥となる」


「わかっている!」


「それだけ、大きな声を出せれば…回復したのも同然ですね。僕は母上と呼んできます…」
滋弥は踵を返して、部屋から出て行った。



「・・・」


「くそっ」



俺は舌打ちして、長い前髪にクシャリと掻き乱す。


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