《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~

重なる肌~花奏side~

褥とは何か…結局、知弥は教えてくれなかった。


雨音さんに訊くと思いっきり…動揺していた。


今夜とうとう、知弥に貞操を奪われる…場所は知弥の高級マンションの部屋。


「結界も張り巡らしたし…邪魔者は来ない」


何だか最近、妙に知弥は焦っていた。晴れて私たちは入籍して小笠原花奏となったのに。


「邪魔者って誰のコト?」


「お前…本当に気づいてないのか?」


知弥が声を荒立てて、私を責め立てる。


「うん」


「・・・」


長い前髪を掻き上げて、紫色の双眼を露にして、頭を項垂れた。


「知弥??」


「この鈍感女…」
突然、顔を上げて、私を罵り始めた。



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