坂田家の日常



そう言って涙目になった雨宮奏世。



泣かれて困るのは、こっちだって。



「奏世先輩っ!!」

「尚也君、どういう事!?」

「それは俺に聞かれましても……」

「今まであたしをフる男なんていなかったのよ!!」

「それは尚斗兄に聞いてくださいよ……」



俺に目を向けても困るって。



「あたし、諦めない」

「は?」

「絶対に振り向かせる」

「……」

「あたし、負けるなんて事、絶対にしたくないから!!」



負けるとか負けないとかの問題ではないような気がするけど……。



「必ずあたしの虜にしてみせる!!」



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