空の記憶


僕と翼裟は生まれた時からずっと一緒だ。
翼裟がどれだけ辛い思いをしてきたかなんて僕にも痛いほど分かる。


両親の事も。
僕も葎哉君も翼裟のせいなんて思ってない。

ただ翼裟が助かって、生きていてくれて救われた。

僕が病気であったから翼裟は父さんと母さんに甘える事が出来なかった。
僕が翼裟に笑顔を与えてやることが出来なかった。
一緒に生まれてきて今までの時間を分かち合って生きてきたのに。
僕は何もしてやれなかった。

翼裟に支えられてここまで来たのにしてやれる事は何もなかった。


だから僕は影で翼裟の事を見守るって決めたんだ。

なれなかった翼裟の支えに影で……





‐‐‐‐‐
「翼裟おはよう!」

僕の一日は翼裟を起こす事から始まる。翼裟は朝が弱いから。

「…郁哉、おはよ…」

「目、大丈夫?」

「うん。」

「今日の体育は二人で見学だな。」

「…俺やるよ?」

「はっ!?ダメに決まってるだろ!!」

「なんで?」

「なんでって、目!負担かけるだろ!!葎哉君翼裟が体育やろうとしてる!!」

「翼裟!!あれほどやるなって言ってるだろ!」


翼裟も僕と一緒でたくさんやってはいけないことがある
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