ひとまわり、それ以上の恋
僕の一度目の恋はだいぶ昔だ。高校時代……。片手では足りないぐらい遡る。その頃の失恋は僕にとっては大袈裟でなく大きなものだった。
ミシェルとの恋は傍からみれば二番目の恋になるのかもしれないが……ミシェル本人に打ち明けたわけでもないし、僕の中で大きく膨れ上がることなく鎮火していったことを考えれば、恋と呼べるほどのものではなかったかもしれない。
そして僕は気づいた。
二度目の恋は、一度目と同じところに留まったままだということを。
傷心に塩を上塗りされたおかげか否か、随分とすっきりした朝を迎えられた。
そろそろシャワーを浴びようか、とベッドから重たい腰をあげると、リビングからそっと顔を出した子猫ちゃんが不機嫌そうな表情を浮かべていた。