便利屋



今日の仕事は…


『10時に空港で、荷物の輸送の手伝いねえ…』


電話の相手の声はどう聞いても男声だった。

男が頼んでくるんだから、相当な量の荷物か…相当な重さの荷物か…。

どちらにしろ、真心込めて仕事するに変わりないけど。


冷たい水で顔を洗い、気を引き締めてドアを開ける。


「わっ!」


ドアを開けると心底驚いた顔をした奈央がいた。


『びっくり。なにやってんの?』


「びっくりって…こっちのセリフだからね。広人今日朝から仕事だって言うからこれ…」


そう言って奈央が差し出すのはピンクのきんちゃく。


『なにこれ?』


「おにぎり。広人朝弱いからさ、絶対朝ごはん食べないで仕事いこうとするって思ったから…」


奈央はにこっと微笑んで俺の顔を覗き込む。


「ちゃんと食べてから仕事してね♪」



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