先生とシンデレラ
俺がそう言うと花森は、クスッと笑って
「…そうなんだ」
と言った。

拉致が空かない。

そう思った時、急に花森が手をパッとのけて
「手、暖かくなったみたいなので行きますね」
と言った。

声をかける暇もなく自分の教室に戻って行く。

何だったんだ、一体。

小首を傾げながら教室のドアを開けようと透明なガラスをみると。

「…」

さっきまで
そこにいたはずの
羅々がいなくなっていた。

優希が俺を睨みつけている。

…

ドアをガラッと開けて、教卓の上にあった忘れ物を手に取り出て行こうと、ドアの方向へ歩き出す。

ガタンッ

椅子が勢い良く倒れる音がした。

それでも構わず歩き続ける。

「…お前っ!」

後ろで、優希の声がする。

「何考えてんだよ‼」

そんなの

「あいつが、泣きそうな顔でお前を見て出て行ったんだぞ⁉」

最初から

「…なのに!」

決まってる。

「何でそうゆう事するんだ…「関係ないよ。優希が追いかけてあげればいい。」

ゆっくりと優希の方を見る。

この場にいる全員が静まり返った教室。

「…は?」

「先生は一人の生徒に構ってられない。先生は他の、大勢いる生徒の事も考えなきゃいけない。」

バインダーを持つ手に力を込める。

「先生には、関係ないよ。」

その言葉を聞いた優希は、ガンッと転がっていた椅子を力任せに蹴って、勢い良く教室から出て行った。

「…」

時計をチラッとみると次の授業が始まるまであと三分だった。

…行かないと。

歩き出そうと前をみると、何時の間にか前にいた華が
「…関係ないなら、もう羅々に必要以上に優しくしないで下さいね」
と言った。

その言葉を振り切って、教室のドアを出た。




< 184 / 449 >

この作品をシェア

pagetop