先生とシンデレラ
無言で二人で歩いていると。

優希が突然、
「…そう言えばお前さ、シンデレラの配役を決める時凄かったな。」

「え?」

「加藤を王子役にしただろ?あれ、きっと、クラスのほぼ全員が“ナイス!”って思ってたぜ?」

「あぁ…私は別に、羅々のためを思ってやっただけだから。」

「それにしたって、凄いよ。俺だったら加藤が怖くて、絶対言えねー。」

優希は、ははっと笑う。

「…別に、今更でしょ。」

「っおま…。本当に、素直じゃねーな!」

また。

「うるさいわよ。夜よ?静かにして。」

「…はいはい。」

そこで、一回会話がきれたと思ったのに、優希は話し続ける。

「長谷川達、早く付き合えば良いのにな。俺たちのクラスの奴ら、全員気づいてて賛成なのにな。」

“全員賛成”?

嘘ばっかり。

…1人、反対の人がいるんじゃないの?

「…そうね。」

「加藤もさ、さっさと行動起こしちまえってな!」

何で。

「…」

「それにしても、学校出る時まだ教室の電気付いてたな。」

何で。

「まだ、練習してんのか?ってかちゃんと練習してんのかよ。」

羅々の話ばかり。

「加藤は長谷川にベタ惚れだからな。何しでかすかわかんねぇ。」

今

「まぁ、長谷川も同じぐらいベタ惚れだから良いのか?」

一緒に帰ってるのは

「いや、やっぱ、ダメなのか?」

私なのに。

「…華?」

呼び方だってそう。

羅々の事は“長谷川”って呼ぶのに。

私は、“華”。
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