瞳の奥をのぞかせて


「祖母以外には嫌われてないの?」

「うん。でも祖母の前では嫌っている演技をしてくれてるんだ。」

「弥薇局長はきっと祖母の前でも普通に咲揮と接したいんだろうね……」

「うん。遥ちゃんは祖母が私を認めるようにって頑張って弥薇家としてやってるけどあの人は一生私を認めない。

あの人は弥薇咲揮という一人の人間が嫌いなの。」

「ひどい……どうしてなんだろ?」

「分からないけどもう慣れた。私を支えてくれた人達がたくさん居ることもわかったから。」

「昂都(たかと)さんとか?」

「うん。」


忍足昂都さんは咲揮が高校2年から付き合っている恋人だ。


「まだまだたくさん弥薇家は複雑な事だらけなんだけど由吏が関わったら教えてあげる……弥薇家のすべてを」




そう咲揮が呟いているなんて知りもしなかった。
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