葵先輩は冷たい。



1人で長い廊下を上履きをペタペタと鳴らしながら歩く。

沢山の人が賑わう廊下で、
きっと独りぼっちはあたしだけ。


少し寂しい。
でも、仕方がない。


葵先輩は…
あたしより大切なものがある。


鉛のような重たい足で、
あたしは第1音楽室の前まで来て立ち止まった。


少し古びたプレート。
それは、埃にまみれていて。


微妙に開いた扉からは、女の子たちの甘い声が漏れ出していた。



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