蒼穹の誘惑
アメリカから戻されたみずきを待っていたのは、父と子の涙の別れ、ではなく、顧問弁護士と重役陣に突きつけられた父の遺言状。

そこには、丈一郎亡き後、彼の遺産の全てをみずきが引き継ぐことが記載されていた。

つまり、30にも満たない小娘が「長谷川エレクトロニクス」の筆頭株主になったのだ。

みずきの社長就任は、重役の誰もが反対した。今時世襲制等あってないようなものだ。

だが、遺言状に記載されていたとあっては、しばしの間目を瞑るしかない。

丈一郎の実弟でみずきの叔父の長谷川栄次郎がそのまま副社長の任を続け、後見人を兼ねることで渋面の重役陣は納得した。

誰もがみずきはただのお飾り社長にすぎず、30にも満たない小娘に何が出来ようかと、たかをくくった。

ところが、幼少の頃から父に経営学を叩きこまれ、ハーバードでMBAを取得したみずきがその手腕を発揮させるのにそう時間はかからなかった。 

副社長の栄次郎が経営の実権を握るだろうと思われたが、みずきはそれを許さなかった。

そして彼女は、従来の方針とは一線を画し、新しい事業の開拓で長谷川を建て直しにかかる。

新事業を計画し、その先を進めようとした矢先、取締役員の反対にあったのだ。



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