月とバイオリン
この明り取りの他に、二つの壁に二つの窓を持つ長方形の部屋の全体を、この位置からは見て取ることができる。

居心地の良さそうな部屋だ。

と、そう思う。

すべてのものが整然と配置されていて、寛いだ雰囲気のないことを残念に思うほど、ソファカバーの柄色はやわらかな温もりを持つものだった。


 扉と並んで置かれた机の上は、使われていないことがわかりやすい。

持ち込まれた本やノートはただ重ねられ、書き物ができるスペースは開けられていない。

少なくはない数の手紙の中には、封すら切られていないものもあり、私は眉を寄せていた。


 手紙は、読まれなくてはならないのに。
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