恋合わせ －私じゃ…ダメなの？－

でも意外にも、そこであたしは新たなる指令を受けることになった。“光学ユニット”の製造ラインへの異動命令だ。

光学ユニットとはデジカメのいわば心臓部ともいえるシャッター、レンズ、ＣＣＤなどの集合体パーツのこと。

メーカーの社員さんの話によれば、光学ユニットはデジカメ本体に組み込む心臓部だからモノ自体が小さくて、作業内容も“本体”の製造ラインのソレよりも細かいものとなるんだけど、逆に光学ラインでの作業をマスターしておけば、今後もし別の部署で働くことになったとしても怖い物なしとのことだった。


ちなみに、それぞれに与えられた作業工程は、まず星野さんが“シャッターの組み付け工程”、眞鍋さんが“ハンダ付け工程”、そしてあたしは“レンズの調整工程”だった。


「奈央ちゃん。俺ら、まるで不死鳥（フェニックス）みてぇじゃん」

「そうですね♪　やっと本来のカメラの組み立て作業ができますね♪」


実際やってみると“組み立て作業”は、これまでの“検品作業”より断然おもしろかった。

自分の手の中で、だんだんと製品ができあがっていくのは楽しかったし、自分の作った製品が世界中に輸出されていくのかと思うと、やりがいみたいなものも感じられたし。


“おしっ。ココでしばらくガンバってみよっ”