久遠の花〜 the story of blood~【恋】

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 イヤな気配がした。

 まさかと思って美咲ちゃんのとこに行けば、部屋はもぬけのから。ヒカルさんもいないとこを見ると、連れ去られたって可能性大か。

 気配を探れば、あったのはキョーヤの痕跡だった。

 ったく、いくらなんでも気を抜き過ぎた。

 呪いを凝縮した薬を飲んだなら、オレよりもアイツの方が危険になる。

 そもそもアイツは長の子ども。ずっと自分を保つなんてことはできないんだ。


 ――強い悪寒がする。前にも感じたことのあるそれは、ヒカルさんが力を使っている時と同じだった。





「……さすがにヤバい、か」





 予想どおり、キョーヤとヒカルさんが交戦中。美咲ちゃんがいるから、ヒカルさんは手加減するだろうって思ったけど――結構ヤバい。美咲ちゃんに当てないだろうけど、問題はアイツだ。いくらヒカルさんが気を付けても、アイツがどこまで避けれるか。


「――――」

「!」


 一瞬、ヒカルさんがオレを見た。

 やっぱりいることに気が付いてたらしい。その後も、何度か目で合図を送ってくるのに合わせ――次の合図で、キョーヤに飛びかかった。
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