暁に消え逝く星


 しかし、どうやら天然皇子は、アウレシアと違って、意味を考えていたらしい。

「私は、どうやらお前が好きらしい」

 稽古を終えて、剣を鞘に戻すなり、イルグレンはアウレシアに告げた。
「はぁ?」
 すっとんきょうなアウレシアの声に、イルグレンが僅かに眉根を寄せる。
「聞こえなかったのか? 私は、どうやらお前が好きらしい、と言ったのだ」
「ちょ、ちょっと待った」
「何を待つのだ?」
「――いや、そうじゃなくて――ちょっと、考えさせとくれよ。どうやら好きらしいって、まずおかしいだろ。なんだって、そんなことになっちゃったんだよ」
 アウレシアの問いに、しばしイルグレンは考え、それから言を継ぐ。
「アルライカともソイエライアともリュケイネイアスともいても楽しいが、私はお前といるときが一番楽しい。それに、お前と剣の稽古をするのも楽しい。今朝のように、一緒にいたいと思ったのはお前だった。他の者には、あまりそういうことを感じなかったし、これが初めてなのだ」
 あくまでも真剣にイルグレンは答える。
「だから思ったのだ。お前を好きなのではないかと――お前は違うのか?」
「――」

 失敗した。

 またしてもアウレシアは思った。
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