シンデレラの王子は。

#PART.5 さよなら


目を覚ました。
カーテンの隙間から溢れる朝日が眩し過ぎて、目が痛かった。
ベッドから起き上がると、明らかにいつもより気合いが入った服を着こなして、鏡とにらめっこしている空未が視界に入った。
「あれ?今日、なんかあったっけ」
「あっ、やっと起きた~」
服選びが忙しくて、アタシの話なんか聞いていないようです。
「空未ぃ~、今日は何があるのー?」
今度は、鏡の前に立ちはだかって言ってやったから、聞かないのわけないよね。
「-----っ?!ちょっと、何言ってんの、今日は結婚式だよ」
「んー?誰の?」
頭の中はハテナマークでいっぱいだ。空未が大きな瞳を見開いて言っていることの意味をいまいち理解できないアタシの脳みそ。
「-----結城先生の」
言いにくそうにボリュームを下げてそう告げた。
今日だったんだ。招待状きてたけど、読まずに捨てたから知らなかったよ。空未はしっかり読んでたんだね。
それを知っても、アタシは行く気にはなれないよ。
恐いの。
先生ともう一度逢ってしまったら、胸の中に仕舞っていた気持ちが溢れてしまいそうで。簡単に好きになってしまいそうで。

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