…TRIANGLE…

「大丈夫、そんな時間ねーよ。あと三点死守!」

 いつもならここで、おぉ、と盛り上がるとこだけど、隼斗を欠いたチームの落胆は大きい。


「大丈夫、大丈夫」 


 隼斗の代わりに選ばれた千葉ががくがくと肩を震るわせた。


「行くぞ、インターハイ全国」


「ナツ……」


 隼斗の汗ばんだ手が俺の腕を掴む。


「……おまえに全部任せた」


「おう、余裕だ。その足、全国大会には治るだろ?」


 隼斗が、にっと白い歯を見せる。悔しいけど、その笑顔に救われる。


「当たり前だ、いってこい! 負けたら許さねーぞ!」

 
 隼斗の笑顔に救われるのは俺だけじゃなくて、それは皆も一緒。


 今まで、どんな窮地も司令塔隼斗がいたから勝ち残ってこれたんだ。




 


< 179 / 254 >

この作品をシェア

pagetop