…TRIANGLE…
「……もうとっくに気持ちにケリついてますってば」
遼也さんがどんとジョッキを置いて俺をじっと見た。
「悪かったな、ナツは不器用だし鈍感だから、おまえも穂香も災難だったな。今日のこれは弟の迷惑料ってこと」
迷惑なんてしてない。ナツには、いつも助けられてばかりだ。
「ありがたく頂戴します!」
「おう、ここのサーロインうまいぞ。ナツも大好きなんだ」
ブラコンなのに、本人まったくの無自覚なのが可笑しくって、こんな兄貴いるナツが少し羨ましい。
「葵さん今日はフライトですか?」
「ああ、パリ」
「へー、かっこいいなぁ。管制官とキャビンアテンダント、大物夫婦ですよね」
「フライドポテト追加」
「やった!」
遼也さんが結局何を言いたいかって、ナツの恋の邪魔するなってことだろう。