猫とボク。
真夜中の攻防戦
 なんだかとても疲れたボクは、早々とお風呂に入ってとっととベッドへ潜り込んだ。

 つい昨日までは、特殊な能力が欲しくて、超能力が宿らないかなぁと、毎日ワクワクしていたのに。
「満願成就、といえば満願成就か。ま、タマと話せるなんて、幸せなことだよねぇ」
 自分の飼っている動物とおしゃべりがしたい。
 誰もが一度は願うことだし。

 そう思って、くふふ、と、一人笑っていたら、ベッドの足元から声がした。
「アゲハ、何一人で笑ってんの」
「タマ! いつのまに部屋に入ってきたんだ……」
 ひょいと、ベッドに上がってきたタマは、適当な場所を見つけて、どさりと横になった。
「だから、ステファンだっての。二人きりのときくらい、ちゃんと名前で呼んでくれよ」
「あ、ハイ……」
 って、何ネコに迫力負けしてんだ、ボク!
「ではステファン、君の寝床はリビングだよ?」
「しってるよ~。でも、リビング、夜中はクーラーついてないから暑いんだ」
「……ボクの部屋も、夜中は扇風機だよ?」
「おう、それくらいで丁度いいんだ。さっ、人間は寝ろよ!」
「ステファンは?」
「寝るよ、皆寝ちゃって退屈……」
 ふと、タマ……じゃない、ステファンの動きが止まった。
 じーっとボクの顔を見つめて……。

 「……どしたの?」
「んーん、なんでもない!」
 とかいいつつ。
 尻尾がやけに、楽しそうに動いているのが気になるんですが……?
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