としサバ
 雫が黒板の前から立ち去ると、今度は葵たち3人が、急いで黒板の前に行った。

 3人は、手分けして落書きを消し始めた。


 保は雫を見て、左手でOKのサインを出した。
 それを見て、雫はにっこりと微笑んだ。



 張り詰めた空気の中で算数の授業が始まった。

 授業が終わるや、葵たち3人は肩を寄せ合って語り始めた。


 「葵、雫の携帯、どうするん」
 

 みちるが葵に尋ねた。

 
 「まだ、動かへん。動くのは、結婚式が終わってからや」
 
 「結婚式が終わったら」


 リンが葵を見ながら言った。


 「先生に見せに行くまでに、うちが行動する」
 「行動って」


 「うちが雫の携帯を隠してやる」
 「盗むの」


 「いいや、ちょっとの間、隠すだけや」

 「わかった」
 「わかった」


 みちるとリンは同じ事を言った。







< 106 / 285 >

この作品をシェア

pagetop