としサバ
 「動画もあると言っていたわね」
 「はい、先生、見方分かりますか」

 「ええ、大丈夫よ。私のデジカメと同じ機種だから」


 遠藤先生は動画に魅入っている。

 動画は音も入っているので、情景をかなりの程度、再現している。


 「これは、結婚式の入場式シーンね。バックミュージックは合唱でやっているのよね。良くやるわね」

 「呆れるでしょう」

 「本当ね。このシーンは、結婚式の誓いのシーンよね。こんな言葉、どこで調べて来たのかしら」

 「よくもここまでやれるものですね」

 「全くよ。でも、今野さんは止めに入っただけなのに、どうして花嫁にされなければいけないのかしら。あなたと吉岡君は、何かあるの」

 「いいえ、何もありません。私が止めに入ったものだから、腹が立ったのではありませんか。それで、腹いせに、私にも攻撃が向けられたと思います」

 「良く分からないわね。吉岡君が冷やかされるのは、良くわかるのだけど。あなたに攻撃が向けられるというのがね。宮崎さんと今野さんは、仲が悪いの」

 「いいえ、普通です」
 「ああ、そう・・・吉岡君は、まだいるかしら」

 「見てきましょうか」
 「ええ、お願い」


 遠藤先生にペコッと礼をすると、雫は教室まで走って行った。




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