としサバ
35話　風邪
　信彦は自宅を後にすると、これからの身の振り方を考えながら、茨木駅に向かって歩いていた。

　（ということは、株を撤退して、清掃かガードマンの仕事を真剣に探すしかないか。マンションも早急に引っ越して、家賃を下げねばならない）

　信彦はこれから先、厳しい現実から逃げずに、真正面に現実に向かうほか、生きて行く事は出来ないと思っていた。


　（女将の事はどうするか。
　離婚が正式に決まった今、女将と生活をやり直すのもひとつの方法ではないか。

　それともひとりで暮らすか。やはり、女将と共に暮らす方がいいに決まっている。

　あの時に女将の提案を受けておけば良かった。離婚が決まっていないあの段階で受ける事は出来なかった。

　今からこちらから提案すれば、どうだろうか。いいかも分らないし、駄目かもわからない。


　一か八か、やってみるか。


　よし、それなら早い方がいい。では、早い内に行動に移すか）




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