としサバ
 「あっ、ご免」

 男子生徒と何度もぶつかっては、雫はペコンと頭を下げていた。

 雫は運動場からの点検が終わると、階段で4階に上がった。


 パソコン室には誰もいなかったので、雫は中に入った。
 中には30台位のパソコンが並んでいた。

 雫は窓の所に歩いて行き、窓を開け、下を覘いた。


 「60センチ前後位かな」


 下を覘きながら、雫が呟いた。


 「こちらは1メートル30センチ位かな。いや、もっとあるかな」


 雫は窓から体を乗り出して、さらに言った。


 窓から運動場と体育用具室が見えた。


 「こちらからは、こんな眺めか」

 「やっぱり、あっちの方がいいかな」

 「これで、良しと」


 雫はぶつぶつ言いながら窓を閉めた。

 パソコン室の外を女子生徒二人が、手を繋いで楽しそうに歩いていた。

 何でも無いような顔をして、雫は教室に帰り、自分の席に戻った。


 葵たちは、相変わらず、元気がなかった。

 あれ以来、葵たちには、不審な行動は無かった。





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