としサバ
41話 履歴書
 信彦はメッキーの正体を知って笑ってしまったが、妻とも離婚が決まり、何か空虚で寂しい孤独感に襲われていた。


 「女将が実家から帰っているかも知れないな」


 信彦は孤独感を癒す為に、かの川に行ってみる事にした。

 鏡の前で髭ずらの顔を映す。


 「このままで行くか」


 (不精髭を生やし、風邪で寝ていたと言えば、女将の哀れみを買えるかも知れない)

 そう考えて、信彦は不精髭のままかの川に向かった。


 かの川に着くと、格子戸にはやはり貼り紙がしてあった。

 
 「あのままか」


 ぼんやり貼り紙を見ていたが、その意味の違いを悟った時、信彦は愕然とした。




 
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