としサバ
 その時、信彦の前を、ジャガーの耳としっぽを付けた女の子が、通り過ぎようとしていた。


 食べたくなるほど、その女の子は可愛いかった。


 思わず、信彦は女の子に声を掛けた。


 「君は何年生?」
 「小学6年生」


 「誰のファン?」
 「兄貴」


 兄貴とは、ジャガースの主力選手の愛称である。


 「写真を撮らせてもらってもいいかな」
 「いいよ」


 雫はニコッと笑うと、手でVサインをして、小さな声を上げた。





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