Secret Prince[短篇]
Secret Prince

Rika

◆1話目




「ね、キスして?」


「あー?」







微動たりせず、首だけこちらに向けてしかめっつら。







「…じゃ、ぎゅってして?」

「……やだね。」









そしてまた、視線を雑誌に戻す裕二。






ったく、なんなんだこの男。彼女が誘ってるのに、この態度。







いつもそうさっ!
コイツは自分勝手。
キスするのも
手を繋ぐのだって、アイツの気が乗った時だけ。












なんだか虚しい。




「はあ〜っ…」


「梨華、ため息吐くな。」










誰のせいよ!誰の…






裕二の広い背中をギロっと睨む。




そんな私に気付くことなく、しまいにはテレビをつける始末。





「………帰ろ」





暇だし。
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