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 「そっか。」

…あれから1年以上が経った。

変わったことは、あたしが海斗を名前で呼ぶようになったことくらい。

あとは何にも変わってない。

”藤乃宮高校”

確かにあたしの心に引っかかってた。

海斗は藤乃宮に行ってテニスを続けるつもりだ。

…あたしは海斗の質問にまだ答えを出せていない。

 「…高校、どうすんの?」

 「え?」

…海斗の口から出た言葉は、あの日と同じような質問だった。

 「俺らもう3年だろ?
  引退したら受験勉強だしさ。」

 「…海斗は?」

海斗は今日の対戦表を軽く眺めた。

不意に力が入って対戦表がくしゃっと握りつぶされる。

 「…変わってねぇよ。」
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