青薔薇に愛を込めて


リツィリアさんの呼び掛けにしばらく答えようとはしなかったけど、ジュリアさんに無言で促されて戸惑いながらもびょこぴょこと前に進み出てくる。


…かわいい。思わず凝視。



「ローニャ、彼女はハルカ。渡人(わたりびと)だよ」

「…は、るか?」



少し怯えながらも、首をこてんと傾げて大きく丸い硝子玉のような瞳を私に向ける。


ほんのちょっと舌ったらずではあるけど、まるで鈴を転がしたような可憐な声。


ウズウズと沸き起こる抱き締めたい衝動を必死に押さえ込みながら、私はローニャくん(たぶん男の子のはず)に視線を合わせるためその場にしゃがんだ。



そして驚いてただでさえ大きい目をもっと大きくしているローニャくんの小さい頭を優しくなでなでする。

もちろん、とびっきりの笑顔は忘れない。

子供にはやっぱり笑顔が一番だよね!


< 101 / 125 >

この作品をシェア

pagetop