先輩と後輩の恋愛事情
『次の種目は、借り物人競争です。』
「来た来た〜!」
「やばい、超楽しみ〜!
ね、実梨!?」
「そ、そうだね…」
借り物人競争とは、学級で借り物競争か、借り人競争かで言い合いになったらしい。
そこで、もうめんどくさいので2つ合わせよう、ということになって借り物人競争になった。
隣で騒いでいる女の子たち。
けど私はそんな気にはなれなかった。
佳のことが気になって…。
後、先輩たち…。
「黒木先輩何引くんだろ〜」
「ドキドキする〜
好きな人、とか引いちゃって〜!」
キャー!女の子たちは盛り上がっている。
この種目に先輩出るんだ…。
さすが女の子たちの情報網は早いな…。
そういえば、これに佳も出るって聞いてたような…。
『さぁ、いよいよ始まりました!
おっ〜と、早速白組が何か引いたようです!』
『え〜、何々?
犬?
……体育祭に犬を持ってきている人はいるんでしょうか…』
『おっと、そうこうしている間に赤組も何か引いようです!
ジャンバー…?』
『今は秋です。
すでにジャンバーを着ている人なんているんでしょうか!?
さぁ、探して下さい!』
『え〜、今回は最初から結構難しいですね〜。
両者とも、がんばってください!』
「くそー!
犬なんているわけねぇだろ〜!」
「誰だよ〜!
こんな紙書いた奴〜!」
どちらも文句を言いながら走っている。
大変そ…
『え〜、最初の人がなかなか帰ってこないので、時間も押してることですし、次の人に……』
「持ってきたぞ!」
「こっちもだ!」
『おっと、両者例の物をちゃんと持ってきているのでしょうか!?』
『え〜、マイク変わりまして、判定者の中島がお送りします。
では、まず最初に持ってきた赤組から…』
『はい、確かにジャンバーで、合格です!』
「よっし!」
『では赤組の選手は次の人に出番を回してくださ〜い。』
あの人、すごく嬉しそうだな。
汗ダラダラなのに…。
ていうか、もうジャンバー着てる人いたんだ。
『次は白組で…
お?これは…犬は犬ですけど、ぬいぐるみですね。』
「い、犬にかわりはないだろ!?」
『……まぁ、あなたの頑張りに免じてOKとしましょう。
白組合格です!』
「っしゃ!」
これまたこの人も嬉しいそう、汗だくで…。
そんなこんなで借り物人競争は続いていった。