先輩と後輩の恋愛事情


あれから体育祭も無事に終わり、またいつもの生活が訪れて来た…。



優勝は紅組の勝ち。



「やったね、実梨!」



「うん、そうだね」




「……」




でも、変わったことは1つだけ…。



「あれ、実梨佳くんと話さなくていいの?」




「ん、いいよ…
行こ?」




佳とあまり一緒にいることがなくなり、口数も減った…。




「どうしたの、ケンカでもしたの?」




「ううん、そういうのじゃないけど…」




「あ、もしかして黒木先輩とのこと?」



「え?」



「ほら、実梨先輩にまで告白されてたじゃん、体育祭の時」



「覚えてるんだ…」




「当たり前よ!
その話で結構ネタがあがってんのよ?」



「ふ〜ん…」





やっぱりみんなそんなすぐには忘れられないよね。



しかも告白してきた先輩は学校で人気の黒木先輩なわけだし…。



「はぁ…」



「何ため息ついてんの?」



「……!?」




声をかけられ気づくと、窓の外に笑った先輩がいた。



「せ、先輩!?」



「あ、じゃぁ私たち先にいくね!」



「うまくやってね♪」

ボソッと言い残して行ってしまう。



気を使ってくれたつもりなんだろうけど…



今はそんなの要らないよ…


「はぁ…」



「…ため息ばっかついてたら、幸せ逃げて行っちゃうよ?」



「私の幸せの間に入ってきたのは先輩でしょ…?」



それで今不安定になってるんだから…。



「ごめん、ごめん。
けど…実梨ちゃんのことが好きだって気づいた時、想いをしまっておくことがどうしてもできなかったんだ…。
初めて好きになった人だしね…」



「え…」



最後の言葉は小さかったけど、気になっる言葉だった。




『初めて好きになった人』…?




でも言い方は悪いかもしれないけど、先輩は今までたくさんの女の人と付き合ってきたのに、全部本気の恋じゃなかったってこと…?


「あ、そろそろ授業始まるから、バイバイ!」



「あ、せんぱ…」



呼び止める間もなく先輩は走っていってしまった。




初めて好きになった人…。




その言葉は信じていいのかな…。








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