強引な次期社長の熱烈プロポーズ
(私…何を言ってしまったんだろう…)


扉が閉まる――――
それを見て百合香は一気に気が抜けてしまい、堪えていた想いが涙になって一粒、また一粒と頬を濡らした。



ガコッ



目を伏せて涙が流れる。その百合香の瞳が扉の隙間から伸びてきた手を捕らえた。
手で閉まることを阻まれたエレベーターは再度扉を開く。


「…なんか、こんなことばっかやってるな俺」


そう言ってエレベーターに踏み込み、百合香の元へと近づく柳瀬。

「そうさせてるのは、君だけど」

あくまでいつもと同じ雰囲気を保とうとするが、百合香をみて柳瀬はそのポーカーフェイスを初めて崩す。


「な…いてるのか?」


柳瀬の漆黒の瞳が初めて揺らいだ。


再び扉がしまったエレベーターはボタンも押していなく、また、他の階にも人がいないため動く気配がない。

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