強引な次期社長の熱烈プロポーズ

8.誓い

「騙すつもりとか、そんなのなかったんです。まして誘拐みたいなあんな言い方――…」
「もう気にしてないよ。大体あれは江川の自作自演だろ」
「···でも、話を聞いてくれました」
「そうか」


車の中でやっとゆっくり2人で話が出来た。


さっき珈琲店で、百合香が江川に『電話がなかなかきませんね…』なんてぼやいてしまったものだから、『じゃあちょっと、試してみようか』なんて言って。
百合香は何をどう試すのかわからないまま、すぐに江川の言った通り柳瀬から電話が来て、そのあとは目の前で勝手に事を起こしてた。

あんな脅迫まがいみたいなセリフ並べて…
あとでどんなに怒られるかってヒヤヒヤしていただけど、反面どんな反応が見られるか、どれだけ想われてるか、ちょっぴり期待していた。

その結果は想像を遥かに超えていて、あんなに息をあげてきてくれるなんて思わなかったし、それこそ予定外だった自分の体を江川が支えてくれた時の柳瀬は今まで見たことのないような一面を見られて、柳瀬には申し訳なかったけどすごくラッキーだったと百合香は思ったのだった。


「なに笑ってるの」
「えっ!··笑ってました?」
「その理由、じっくり聞かせてもらえる?」
「·····」


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