強引な次期社長の熱烈プロポーズ

第６章

１．宣戦布告？

＊

今日も朝帰り。
柳瀬が家まで送り届けてくれて、百合香は支度をし直す。

（キッチンのコーヒーメーカー、何日使ってないかな…）

そんなこと思いながらさっき車での会話を思い出した。



「百合香、出張から帰って落ち着いたら…うちにくる？」
「え？疲れてませんか？」
「いや、そういう意味じゃなくて」
「そういう意味じゃなくって…」



百合香は洗面所の鏡に写った自分の顔をみたらほんのり頬が赤く染まっていて、チークの必要がない位だった。

“一緒に生活をする”

そのことを言ってるんだってわかった。
あまりに突然で、こんなに日が浅いうちにそう言ってくれるなんて驚きが大きくて、大した返事も出来ないまま自宅に着いてしまった。

柳瀬は、改めて『今度ゆっくり』って言って先に出社してしまったけど、百合香はその時すぐに『はい』と言えなかったのを悔やみながら髪を整えた。