強引な次期社長の熱烈プロポーズ

2.彼女らしさ



「神野さん」

売場に戻ると柳瀬が声を掛けてきた。
周りを見ると、美雪はいないものの湯川がいた為よそよそしく呼ばれた。

「はい」
「ちょっとだけ、いい?」

そして柳瀬について売場内の隅の方へ行った。店内の見通しはいい場所。逆に周りを見渡すことができて、誰かが近付いてきたらすぐに気付けて対処出来るからだと百合香は思った。


「何かありましたか?在庫表ですか?」
「いや、今日急遽飲み会になった」
「えっ」
「···明日の出張に同行する予定の人達と」


(それって、勿論阿部さんもいるよね…)


百合香が思ったことを柳瀬は既に予想済みですぐにフォローしてくれた。


「向こうは3人だから」「3人?」


(3人てことは、阿部さんの他に2人いるってこと?じゃあ出張も2人きりじゃないんだ。)


「とりあえず夜遅くなるから····連絡はするよ。ごめん」
「智さんが謝ることないから・・・」

百合香が気張ってそう答えると、柳瀬の不意打ちな優しい笑顔が飛び込んできて、相変わらず百合香の胸はキュウっとさせられた。

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