強引な次期社長の熱烈プロポーズ
それでも百合香は今回だけでなく、毎回そういうお客様についても丁寧に話を聞いてあげる。
百合香自身は全く気づいていないが、忙しい時の回転率は良くない。けれど、顧客が増える理由としてそういう百合香の接客態度が反映しているのだった。


「ご自分のペンをお探しということですか?」
「ええ、ええ。」
「万年筆やボールペンと言ったご希望は?」
「万年筆ねぇ···昔はよく使ったわ」


懐かしそうに目を細めて女性は横のショーケースを眺めた。


「それこそとても、書きやすかった気がするわ」
「そうですか…今はその万年筆はお使いになられてないんですか」
「ええ。年取るとね。手入れの仕方も忘れたわ」
「そんな…でも確かに今はボールペンがありますからね」


そんな会話をしながら見ていたのはオーシャンのショーケースだった。
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