強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「や…なせ…?」

百合香《ゆりか》は目を疑った。
柳瀬《やなせ》とは百合香の上司・副店長だ。


(なんでその柳瀬さんのメモがこんなところに…)


ふとリビングの電波時計に目をやる。


「もうこんな時間?!」


百合香はそのメモを元に戻し、出勤準備を慌ただしく始めた。
昨日から着ている洋服を脱いだ時に、微かな男性用フレグランスの香りがした。


(もしかして…もしかしなくても…昨日ここまで運んでくれたのは……)

そんな想像をしては青ざめた。


(とにかく出社しなくちゃ!
頭痛はするけど薬を飲んで、一日やり過ごすしかない。)

重い頭と足取りで玄関を後にした。

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