強引な次期社長の熱烈プロポーズ

5.Satoshi's side4



出張から戻ってやっとの公休。
柳瀬はその休日も家でダラダラすることなく、いつもの綺麗めなジャケットスタイルで街に出た。

相変わらず道行く女性から視線を送られることが多い柳瀬だが、全く気にすることもないまま歩いて行く。


1件店に寄り、手ぶらでそこを出るとあの大きな書店へ向かった。

柳瀬の時間の潰し方のひとつは本だ。


一度しか、百合香とは一緒に来たことがないのに至るところに彼女の影を感じられる。

本棚の間に立っていた彼女。
一人きりでも楽しそうに雑貨を眺めて、いつも見ている筈のペンをガラスケースの光を反射させてキラキラとした目で。




あの時と変わらない君の無垢な瞳。



< 407 / 610 >

この作品をシェア

pagetop