強引な次期社長の熱烈プロポーズ
(うちには置いてないペンだ――)


百合香はそのペンをショーケースに張り付くようにして見た。

それは国産メーカーのもので、勿論百合香の店にもそのメーカーは入っているが、このペンは定番外で取り寄せ対応をしているもの。


“桜”と名のつくペンで、万年筆とボールペンと生産されている。


更にそれぞれ2種類あって、ボディが木の素材でできているものと、樹脂で出来ているものとがある。

木の素材という方は、“桜”にちなんで桜の木を使用している。

もうひとつの方は、白濁色のボディに桜の花びらを思わせる模様が全体に散りばめられている。

双方共に、同じ木目·模様のものはひとつとしてない為同じ商品であるのに違って見える。

いつもカタログ越しでしか見たことのないこの“桜”に百合香は心惹かれるのだった。
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