強引な次期社長の熱烈プロポーズ

後編



「さすがに連日は誤魔化せないよ?」
「姉ちゃんは今日は···?」
「会社の女の先輩と飲みに行ったけど」


翌日の夜も、智と椿が一緒だった。

と言っても、昨夜のようなバーで長い時間…ではなくて、ライトアップされているバッティングセンター。

二人は隣同士でバットを手にして構えている。
時速110キロ設定のバッターボックスでスーツの男が二人、狙いを定めて思い切り振る。


「うわ!義兄さんて出来ないことないんですか」
「たまたまだよ。野球、やってたから」


的にこそ当たらなかったが、智の打った打球は気持ちのいい音を立てて夜の空に吸い込まれるように飛んでいき、グリーンのネットに受け止められた。


「んっ!·····オレもやってたんスけどね」


続いて椿の打球は空振りではないがかする程度の微妙な一打だった。


「集中力じゃないの」
「…まぁ確かに。今散漫ですけど」
「で、今日は何?」
「いや···これから彼女に連絡しようと思って··」

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