強引な次期社長の熱烈プロポーズ
百合香が掃除に取りかかると、不安をよそにすぐに柳瀬は倉庫へと消えていった。


「なんか、柳瀬さん機嫌悪い?」


坂谷がささっと横から現れる。


「どうでしょう?私にはいつも通りに思えますけど」


(そう。もしも昨日何かあったとしても、いつも通り変わらないと思う。
柳瀬さんはいつもクールだし。)


怒鳴ったりはしないけれど、オーラで黙らせるというか、百合香はあまり得意なタイプではない。
あの瞳で真っ直ぐに見つめられるとどうも調子が狂うというか。何でも見透かされている気がして。つい、挙動不審になってしまう。


「おはようございまーす」
「あ、おはよう」
「おはよう」


そんなことを話していたらアルバイトの長谷川が出社してきた。
坂谷に続いて百合香も挨拶を交わして、急いで硝子を磨きあげ、開店へと準備を急いだ。




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