特上男子

手が……

少しでも綺麗になりたくて、少しでも早く大人の女になりたくて毎日ファッション雑誌や美容雑誌を読みあさった。


中身ももっと成長して女性らしくならんといけんっちゃろうけど、とりあえず見た目だけでもどうにかしたかった。



「あれ？またメイク変えた？」

「変！？」

「変じゃないけど、昨日のメイクの方が好き」



凛子にそう言われて鏡で自分の顔をマジマジと見ていると、頭上から聞き慣れた声がして顔を上げるとライトと遥が立っていた。



『お前その顔はねぇよ』

「えっ！？そんな酷い！？」

『志保はもう少しナチュラルなメイクの方が本来の良さがより引き立つと思うよ？』

「……明日は少し変えてみる」



みんながそう言うんやから今日のメイクは間違いなく失敗。


遥の直球な言葉もどうかと思うけど、ライトの傷付けないような柔らかい言葉が一番心に響いて切ないっちゃけど……。


響くというかぶっ刺さる感じ？


肩を落としてしょんぼりしている私を慰めるように、手が頭に触れ優しく撫でてくれた。


こんな事をしてくれるのは一人しかいない。



「ライトォォォ……！！」