契約の婚約者
赤く熟れた蕾を解放した唇から発せられたその言葉は、沙希の心にズトンと衝撃を与えた。




愛-----?




そんな言葉が片桐の口から発せられるとは思いもしなかった。


沙希にとってセックスは愛を求める行為ではなく快楽の道具にすぎない。その快楽を求める行為に何故愛が必要なのかも、愛が加わったときに生まれる喜びも知らない。


だから、今何故自分の胸がきゅうっと苦しくなるのかも、身体がいつも以上に喜んでいるのかもわからないのだ。


沙希はまるで思春期の少女のように心と身体の変化についていけない。



< 122 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop