契約の婚約者
「ニューヨーク行くのが寂しいのはわかるが……」


寂しい?


この、私が?


寂しい、の?


幸せそうに笑う彼女を前にしてどす黒く渦巻く感情の正体は、そんな単純な感情?


片桐がやれやれといった面持ちで沙希の頬にかかる髪をすく。


「黒沢なんか相手に嫉妬してどうする?」


あぁ、そうか……


納得----。


だから、ムカついた。


いつもいの一番に自分に何でも相談しにくるくせに、今回だけは違った。


彼女が一人で苦しんで、悩んで、決断した。


自分はただ、事後報告されただけだった。



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