アジアン・プリンス
(23)哀しい愛の告白
「ミセス・サイオンジの言うことも一理ある。だから、私は」

「馬鹿なこと言わないで! そりゃ、彼女も被害者かもしれないわ。でも、これだけはハッキリしてる、あなたにはなんの責任もないってこと」


真剣に怒るティナの顔を、レイはジッと見つめていた。そして、


「ありがとう」


嬉しそうに微笑み、ティナの頬にそっと口づける。


「あ、あの……」

「ああ、すまない……つい」


頬が熱い。ティナはこのままレイに抱きついてしまいそうになる心を叱り付け、必死で話を元に戻した。


「で、でも……それと王妃って」

「ああ、そうだったね。それは――」
 

チカコはさすがにソーヤを巻き込んだことを反省し、後の始末をレイに委ねる。

レイにとって兄は遠い存在だった。両親に叱られるから、兄もふたりの姉もレイには近づいては来ない。しかし、ソーヤは違った。


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