叶わない恋。




「ただいまぁ~


って、誰も家にいないか…。」


あたしは独り言を呟く。



もう何年になるだろうか…。



誰かに”おかえり”と言われていないのは…。



うちの両親は2人とも医者。


だから家にいることは滅多にない。




『夏希!おかえり!!』


リビングに入るとソファに寝ころぶ



「兄貴………?!」



兄貴を発見した。




「……なんでいるの??」


確か、兄貴は年上の彼女の家に半同棲してるって言ってたのに…。



『なんでってここ俺の家だろ?

そんな不思議そうな顔するなよ。』


兄貴は拗ねた真似をする。



「彼女の家にいたんじゃなかったの?」


まあ家にいるってことはきっと…



『まぁ…いろいろあるんだよ!』



彼女と別れたのか……。



「人生、山あり谷ありでしょ?」



あたしは笑いをこらえて言った。






< 19 / 426 >

この作品をシェア

pagetop