叶わない恋。






「桐ちゃん!!」


あたしは廊下でたまたま見つけた桐ちゃんに声をかける。



『夏希?!?!』


振り向いた桐ちゃんは驚いていた。


桐ちゃんと話すなんて何日ぶりだろう?


ずっと避けてたからね……。


ごめん、桐ちゃん。



『お前元気になったの?!?!

俺、お前に嫌われたかと思ったじゃん!!』


嬉しそうに話す桐ちゃん。


そんな姿に胸が苦しくなる。




あたしだけを見つめて…


あたしだけの桐ちゃんになって…



そんなバカみたいな思いが生まれる。



「あたしはずっと元気だから!

ってか桐ちゃんのことずっと嫌いだし……。」


思っていることと逆の言葉が口から出る。



『うわっ!ひどいな…夏希。』




「ははっ冗談だからねー。」


あたしはそう言って桐ちゃんをバシッと叩いた。



笑っていたあたしだけど本当は涙が溢れそうだった。


桐ちゃんと笑って話すことができて、


あまりにも嬉しかった



でも桐ちゃんに涙を見せまいと唇を噛み締めて必死で笑顔を作っていた。






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